1957年 二次 幾何 [1]
△ABC の辺 BC の中点を M とする。∠BAM+∠ACB が直角であるとき, △ABC はどのような形であるか。
一方, △ABC の外接円(中心は O とする)について, 点 A を通る直径のもう一方の端点を D とおく.
円周角の定理より ∠ACB=∠ADB=
AD は直径なので ∠ABD=
これらのことより ∠BAD=
以上により, 直線 AD と直線 AM は一致する.
(i) M と O が一致するとき
BC は M, すなわち O を通ることから△ABC の外接円の直径なので ∠A=
(ii) M と O が一致しないとき
AM⊥BC であり, AB=AC
よって, △ABC は∠A の直角三角形か, AB=AC の二等辺三角形である.
以上の証明は, 外接円をかくということを思いつかないとできないものです.
しかしながら, 何故外接円をかくのか, その理由が判然としません.
一応理由付けをするとなれば,
「証明において直角を利用しようにも直角はどこにもないので何とかして作ろう.
外接円をかけば直径に対する円周角は直角になるから, とりあえず外接円とその直径をかいてみよう.
直径は A を端点とすればいいかな.」
となります.
それでも, 私はこのやり方を思いつかなかったので, 悔しいので, 以下に私が論理的に考えて出した別解を乗せておきます.
ただ, 計算量があまり多く, そういう意味では現実的ではありません.
私は計算が面倒なので Mathematica の助けを借りました.
てへっ.
まず, AM は BC に対する中線なので, 中線定理が使えるだろうと予想します.
∠ACB=, AM=d とおく.
中線定理により, …(1)
辺 a, b, c の関係を知りたいわけですから, d が邪魔です.
それから, ∠BAM と ∠ACB も利用しなければなりません.
a, b, c, d と ∠BAM と ∠ACB を過不足なく使うとなると, 余弦定理しか思いつきません.
余弦定理より,
…(2)
…(3)
(1), (2), (3) では d と が邪魔なので, これらを消すことを考えます.
式は 3 つあるので, 上手くできれば 2 つの変数を消すことが出来ます.
(2) より
(3) より
であるから
…(4)
また, (1) より
これを (4) に代入して整理すると
…(5)
さて, ∠BAM+∠ACB= であるということは, ∠CAM+∠ABC= である.
したがって, 上記のことは と を入れ替えても成り立つ.
すなわち
…(6)
(5), (6) が成り立つとき, より
または または 「 かつ 」である.
かつ のとき, 辺々引いて
となり, 結局, または である.
以上により または が成り立ち, したがって, △ABC は AB=AC の二等辺三角形か, ∠A の直角三角形である.