1958年 二次 解析2 [3]

水平面上に 8a cm だけ離れた 2 定点 A, H があり, H の真上には高さ a cm のところに点 B がある。線分 AH 上に点 P をとり, 最初 B に静止していた動点が線分 BP, PA に沿って B から A まで動くとき, BP 上では等加速度 \frac{BH}{BP}g cm/sec^2 で進み, PA 上では, 動点が P に達したときの速度の水平成分に等しい等速度で進む。
動点が B から A まで最短時間で到達するには HP をいくらにすればよいか。ただし, g は正の定数である。


HP=x とおくと
BP=\sqrt{a^2+x^2}
加速度 \alpha
\alpha=\frac{BH}{BP}g=\frac{a}{\sqrt{a^2+x^2}}g
B から P まで動く時間を t_1 とおくと
\int_0^{t_1}\alpha tdt=\frac{a}{2\sqrt{a^2+x^2}}gt_1^2=BP



初速度 0, 加速度 \alpha で時間 t だけ進んだときの距離は \frac{1}{2}\alpha t^2 で表されることは物理の常識ですが, ここは数学の問題なので, 速度を時間で積分するという方法をとりました.
横軸に時間, 縦軸に速さをとった座標平面での三角形の面積を使ってもできます.


よって
\frac{a}{2\sqrt{a^2+x^2}}gt_1^2=\sqrt{a^2+x^2}
t_1=\sqrt{\frac{2(a^2+x^2)}{ag}}
P における速さを v とおくと
v=\alpha t_1=\frac{a}{\sqrt{a^2+x^2}}g\times\sqrt{\frac{2(a^2+x^2)}{ag}}=\sqrt{2ag}
水平方向の速度は
v\frac{x}{BP}=\sqrt{2ag}\times\frac{x}{\sqrt{a^2+x^2}}=\sqrt{\frac{2ag}{a^2+x^2}}x
P から A まで動く時間を t_2 とおくと
\sqrt{\frac{2ag}{a^2+x^2}}xt_2=8a-x
t_2=\frac{(8a-x)\sqrt{a^2+x^2}}{x\sqrt{2ag}}
以上により
t_1+t_2=\sqrt{\frac{a^2+x^2}{2ag}}\left(1+\frac{8a}{x}\right)
f(x)=\sqrt{a^2+x^2}\left(1+\frac{8a}{x}\right) とおくと
f'(x)=\frac{x^3-8a^3}{x^2\sqrt{a^2+x^2}}



東京大学数学入試問題50年」の解答では分母の x^2 がルートの中に入っていますが, 誤植だと思われます.


よって, 増減表(省略)より, f(x)x=2a で最小値をとる.
ゆえに, 動点が B から A まで最短時間で到達するには HP2a cm にすればよい.