1959年 二次 数学1 幾何 [2]

△ABC の内部に △A'B'C' をとり, その 3 辺 A'B', B'C', C'A' はそれぞれ△ABC の 3 辺 AB, BC, CA に平行で, 対応する辺の間の距離はいずれも h であるとする。△A'B'C' の周が △ABC の周の \frac{1}{2} であるとき, ha, b, c で表わせ。ただし a=BC, b=CA, c=AB とする。


△ABC と △A'B'C' は各辺が平行であるから対応する角も等しく, したがって相似である.
a'=B'C', b'=C'A', c'=A'B' とおくと題意より
a+b+c=2(a'+b'+c')
また, 相似比を k:1 とおけば a+b+c=ka'+kb'+kc'=k(a'+b'+c')
よって, k=2 であり, 相似比は 2:1 である.
A' と AB, AC までの距離が h なので, A' は ∠A の二等分線上にある.
さらに, AB//A'B', AC//A'C' であるから, 平行線の同位角が等しいことにより, ∠A の二等分線はまた ∠A' の二等分線でもある.
他の角についても同様.
したがって, △ABC の内心と △A'B'C' の内心は一致する.
よって, △ABC, △A'B'C' の内接円の半径をそれぞれ r, r' とおくと
r:r'=2:1, r'+h=r より r=2h
△ABC の内心を I, 面積を S とおくと △ABC=△IAB+△IBC+△ICA より
S=\frac{1}{2}r(a+b+c)=h(a+b+c)
また, ヘロンの公式より
S=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}
したがって
h(a+b+c)=\frac{1}{4}\sqrt{(a+b+c)(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}
h=\frac{1}{4}\sqrt{\frac{(-a+b+c)(a-b+c)(a+b-c)}{a+b+c}}



ヘロンの公式は s=\frac{a+b+c}{2} として
S=\sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}
で表されますが, 私はこの解答で書いた形の方が, 計算しやすくて好きです.