分割数

最近、分割数というものにはまっています。

分割数というのは、自然数をいくつかの自然数の和として表す場合の数のことです。

例えば、4の分割は

1, 1, 1, 1
1, 1, 2
1, 3
2, 2
4

の5種類あります。

たったこれだけのことなのですが、実は、自然数nが与えられたときにその分割数を求められるような公式は未だに発見されていません。
いや、発見されてはいるのですが、それは無限個の無理数の和として表されるものなのです。
したがって、正確に言うと「分割数を有限個の有理数の和として表す公式は発見されていない」ということです。

自然数nの分割数をP(n)、自然数nをk個の自然数の和として表す場合の数をP(n,k)などと書いたりします。
すると、明らかに
P(n) = \sum_{k=1}^{n}P(n,k)
が成り立ちます。
したがって、P(n,k)を有限個の有理数の和として表すことができれば、P(n)も有限個の有理数の和として表すことができることになります。

いくつかの具体的なkの値についてはP(n,k)の公式が既に求められています。
例えば、P(n,3)は次のように表されます。
\left\{\frac{(n+3)^2}{12}\right\}
ここで、{x}は、xに一番近い整数を意味します。

P(n,4)やP(n,5)についても同じような形の式が求められています。
そして、そこには同じように括弧の中にnのk-1多項式が現れます。
このことから、各P(n,k)はnについてのk-1多項式で表すことができるのではないか、という予想が生まれるのは当然のことです。
しかし、これは不可能なのです。

不可能なことを確かめるのは簡単で、例えば
P(n,3)=ax^2+bx+c
とおいて、3つのnについて連立方程式を解き、また別の3つのnについて連立方程式を解き、その解を比較すれば良いのです。
すると、適当なところで解が異なることが分かります。

というわけで、P(n,k)をnの多項式として表す試みは失敗に終わることが分かったのですが、では、P(n,k)を表す具体的な式は果たして存在するのかどうか。
なかなか難しい問題です。

多項式で充分に近似できる、つまり「任意のkに対してある多項式f(n,k)が存在してP(n,k)={f(n,k)}」という命題が正しいことは、母関数という概念を使うと容易に証明できます。多分。
けれども、P(n,k)は決して多項式では表現しきれないのです。

何とも微妙です。微妙すぎます。
何か具体的な式があったとして、それはどのような形をしているのでしょうか。

ちなみに、分割数について詳しく知りたい方には、以下の本がお勧めです。

整数の分割

整数の分割