n人でじゃんけんをしてあいこになる確率

※結果をまとめたものをPDFファイルで公開しています。
手っ取り早く知りたい方はそちらへどうぞ。

今日も、見かけは単純だけど考えてみると案外難しい問題です。
「n人でじゃんけんをしてあいこになる確率」は、どの程度になるのか。
経験的に言って、人数が多くなるほど確率は高くなりそうですが、どうなのか。

これには、昨日の結果が使えます。
ただ、そのままでは少し一般的すぎるので、もっと限定的な状況を考えてみます。

まず、「n個の異なるボールをr個の異なる箱に、各箱に最低1個はボールが入るように分ける場合の数」は、
\sum_{i=1}^r(-1)^{r-i}{}_rC_ii^n…(1)
で表されます。
(詳細についてはn個のボールをr個の箱に分ける場合の数を参照のこと)

これは言い換えると、「r個の異なる物を重複を許してn個並べたとき、その中にr種類全てが揃っている場合の数」ということになります。
この理屈は、昨日の記事に書いた通りです。

では、じゃんけんの話に移ります。

n人でじゃんけんをしてあいこになるのは、グー、チョキ、パーの3種類が揃っている場合か、n人全員の手が同じ場合です。

まずは前者について考えてみると、これは「グー、チョキ、パーの3種を重複を許してn人が出したとき、その中に3種類全てが揃っている場合の数」ということになるので、(1)の公式が使えます。
r=3を代入すると、その場合の数は
\sum_{i=1}^3(-1)^{3-i}{}_3C_ii^n
=(-1)^{3-1}{}_3C_11^n+(-1)^{3-2}{}_3C_22^n+(-1)^{3-3}{}_3C_33^n
=3-3\cdot2^n+3^n
です。

次に後者について考えてみると、これは明らかに3通りです。
よって、n人でじゃんけんをしてあいこになる確率は
\frac{3-3\cdot2^n+3^n+3}{3^n}
=\frac{2-2^n+3^{n-1}}{3^{n-1}}
=1-\frac{2(2^{n-1}-1)}{3^{n-1}}
となります。

実は、ここまでは暗黙のうちにnが3以上の場合について考えていましたが、n=2の場合についてもこの式は成り立ちます。
また、見て明らかなように、rが大きくなるにつれ、確率は限りなく1に近付いていくことが分かります。直観に一致しますね。

おまけが揃う確率といい今回の確率といい、(1)の公式はとても使い勝手が良いものです。
ということに、今日気付きました。

ちなみに、自分で上の式を導いたあとで調べてみたのですが、式の導き方には他にも様々な方法が知られているようです。