斜め180度は除く

前回の話の続きです。
y=ax^2 のグラフを、原点を中心として正の方向に \theta だけ回転させたグラフを表す方程式は
y=\sin \theta \left(\frac{\cos \theta \pm \sqrt{\cos^2 \theta-(4a \sin \theta)x}}{2a \sin \theta} \right)+a \cos \theta \left(\frac{\cos \theta \pm \sqrt{\cos^2 \theta-(4a \sin \theta)x}}{2a \sin \theta} \right)^2…(1)
で表される、というのが、前回の結論でした。
ところで、一般に二次関数 y=ax^2+bx+c のグラフを適当に回転させたグラフを表す方程式は
y=a'x+b' \pm \sqrt{c'x+d'}…(2)
で表される、というのが、中学三年生の私が予想したものでした。
今回は、この予想が正しいことを証明してみます。
まず、(1)を頑張って変形すると
y=-\frac{1}{\tan \theta}x+\frac{1}{2a \sin \theta \tan \theta}\pm\sqrt{-\frac{1}{a \sin^3 \theta}x+\left(\frac{1}{2a \sin \theta \tan \theta}\right)^2}
となります。
ただし、これは y=ax^2 のグラフを単純に回転させたものなので、その位置も考慮して、x 軸方向に py 軸方向に q だけ平行移動したものを考えてみると
y=-\frac{1}{\tan \theta}x+\frac{1}{2a \sin \theta \tan \theta}+\frac{p}{\tan \theta}+q\pm\sqrt{-\frac{1}{a \sin^3 \theta}x+\left(\frac{1}{2a \sin \theta \tan \theta}\right)^2+\frac{p}{a \sin^3 \theta}}…(3)
という式が得られます。
これと (2) の係数を比較して
a'=-\frac{1}{\tan \theta}
b'=\frac{1}{2a \sin \theta \tan \theta}+\frac{p}{\tan \theta}+q
c'=-\frac{1}{a \sin^3 \theta}
d'=\left(\frac{1}{2a \sin \theta \tan \theta}\right)^2+\frac{p}{a \sin^3 \theta}
を満たすように各定数の値を定められないかと考えます。
(2) が最初に与えられているとすると、まずは a' から \theta が定まります。
次に、c'\theta から a が定まり、さらに、d'\theta, a から p が定まります。
そして最後に、b'\theta, a, p から q が定まります。
逆に、(3) が最初に与えられていたとしても、同様の方法によって a',b',c',d' が一意に定まることが分かります。
細かいことを言うと、(3) に現れる分数の分母が 0 であってはいけないので、\tan \theta \sin \theta \neq 0 という条件がありますが、\tan \theta \sin \theta = 0 なら、これは \theta = \frac{n\pi}{2} の場合に相当し、つまりは通常の放物線と a'=0 とした y=b'+\sqrt{c'x+d'} のどちらかなので、まあ問題ありません。
以上をまとめると、次のようになります。

y=a'x^2 + b'x + c' で表される放物線を \pi/2 の整数倍を除いて回転したグラフを表す方程式は
y=ax+b \pm \sqrt{cx+d}
である。
ただし、c \neq 0

これにて一件落着。
ちなみに、y=x+2 \pm \sqrt{3x+4} のグラフは次のようになります。
比較対象として、y=x+2 のグラフを重ねてみました。