ライガー

こんな問題を考えました.



平面上に三角形 P_1Q_1R_1 があり, P_1(p_1(x),p_1(y)), Q_1(q_1(x),q_1(y)), R_1(r_1(x),r_1(y)) である.
1 以上の自然数 n と点 P_n, Q_n, R_n に対し,
P_nQ_n の中点を R_{n+1},
Q_nR_n の中点を P_{n+1},
R_nP_n の中点を Q_{n+1}
とおく.
また, P_n の座標を P_n(p_n(x),p_n(y)) で表す.
他も同様.
このとき, \lim_{n \rightarrow \infty} p_n(x) および \lim_{n \rightarrow \infty} p_n(y) を求めよ.
ただし, \lim_{n \rightarrow \infty} p_n(x) = \lim_{n \rightarrow \infty} q_n(x) = \lim_{n \rightarrow \infty} r_n(x) (y についても同様)であることを用いてよい.

何も難しくはない問題なので、時間のある方は解いてみてはいかがでしょう。
答えは以下で。
<解答>
仮定より
p_{n+1}(x) = \frac{q_n(x)+r_n(x)}{2}
q_{n+1}(x) = \frac{r_n(x)+p_n(x)}{2}
r_{n+1}(x) = \frac{p_n(x)+q_n(x)}{2}
辺々加えて
p_{n+1}(x) + q_{n+1}(x) + r_{n+1}(x) = p_n(x) + q_n(x) + r_n(x)
よって, \lim_{n \rightarrow \infty} p_n(x) = \alpha(x) とおくと,
3 \alpha(x) = \lim_{n \rightarrow \infty} (p_n(x) + q_n(x) + r_n(x)) = p_1(x) + q_1(x) + r_1(x)
ゆえに
\alpha(x) = \frac{p_1(x) + q_1(x) + r_1(x)}{3}
y 座標についても同様.
以上により
\left(\lim_{n \rightarrow \infty} p_n(x),\lim_{n \rightarrow \infty} p_n(y)\right) = \left(\frac{p_1(x) + q_1(x) + r_1(x)}{3}, \frac{p_1(y) + q_1(y) + r_1(y)}{3}\right)


ここで求めた極限は、三角形 P_1Q_1R_1 の重心の座標と一致しています。
実は、この問題は、授業で三角形の重心の座標の求め方を教えているときに思い付きました。


三角形の重心と、その三角形の各辺の中点を結んでできる三角形の重心が一致することは、感覚的には明らかです。
そこで、そうしてできた三角形についても、その各辺の中点を結んで三角形を作り、以下同様の操作を続けていくとどうなるか。
中点は徐々に重心に近付いていき、極限では各頂点が重心に一致しますね。
というわけで、頂点の座標の極限が確かに存在して各々が一致するということを天下り的に認めてしまえば、上のような「証明」が可能になるわけです。


感覚的には明らかなことを数式を使って表現し直すのは、何とも言えず快感です。


ちなみにタイトルは、漫画およびテレビアニメ作品「獣神ライガー」の「獣神」と「重心」をかけたダジャレの「ライガー」の部分だけを取り出したものです。
ごめんなさいね。