1956年 一次 理科 [2]

次の□に適当な数を記入せよ。
x, y, z を未知数とする連立方程式
\left\{\begin{array}5x+3y-z=0\cdots(1)\\2x+y+3z=l\cdots(2)\\x+4y+kz=10\cdots(3)\end{array}\right.
k=□, l=□ のとき不定である(2 組以上の解をもつ).



変数が多い場合には変数を減らすのが定石です.
(1) には kl も含まれず, z の係数が -1 なので, z を消去すればよいでしょう.


(1) を (2), (3) に代入して整理すると
\left\{\begin{array}17x+10y=l\cdots(4)\\(5k+1)x+(3k+4)y=10\cdots(5)\end{array}\right.



それぞれ y= の形に直せば単なる一次関数なので, 要はこれらのグラフが 2 個以上の共有点をもつ条件を調べればよいわけです.
それぞれのグラフの傾きが異なるならば共有点は 1 個ですが, グラフの傾きが同じ場合は注意が必要です。
グラフの傾きが同じで, グラフが一致しない場合には, 共有点は 0 個で, グラフが一致する場合には, 共有点は無数にあります.
(前者を解が「不能」, 後者を解が「不定」であるといいます.)
したがって, この問題はグラフが一致する条件を聞いているわけです(共有点が 2 個だけということはあり得ません).
一般に, 連立方程式
\left\{\begin{array}ax+by=m\\cx+dy=n\end{array}\right.
について
\left\{\begin{array}y=-\frac{a}{b}x+\frac{m}{b}\\y=-\frac{c}{d}+\frac{n}{d}\end{array}\right.
と変形できることから
傾きが等しい \Leftrightarrow -\frac{a}{b} = -\frac{c}{d} \Leftrightarrow ad-bc=0 です.
二次の正方行列が逆行列をもたないための必要十分条件を知っている人には覚えやすい形ですね.


これらのグラフの傾きが等しいとき
17(3k+4)-10(5k+1)=0
k=-58
これを (5) に代入して
-289x-170y=10
連立方程式不定であるための条件は, これが (4) に一致することであり,
l\cdot(-17)=10, l=-\frac{10}{17}
以上により
k=-58, l=-\frac{10}{17}