1957年 一次 理科・衛生看護科 [4]

次の各図形の面積を大きさの順に並べ, 不等式
(13)□<(14)□<(15)□<(16)□
が成り立つようにするには, □の中にそれぞれどれを入れればよいか。
イ 原点を中心とし半径 6 の円の内部と, 点 (0,12) を中心とし半径 6\sqrt{3} の円の内部との共通部分。
ロ 楕円 \frac{x^2}{9}+\frac{y^2}{8}=1 の内部。
ハ 放物線 12y=x^2 と直線 x-12y+72=0 とが囲む図形。
ニ 四点
(5\cos0^{\circ},5\sin0^{\circ}),
(5\cos60^{\circ},5\sin60^{\circ}),
(5\cos180^{\circ},5\sin180^{\circ}),
(5\cos(-60)^{\circ},5\sin(-60)^{\circ})
を頂点とする四辺形の内部。
ただし, 円周率 \pi=3.14, \sqrt{3}=1.73, \sqrt{2}=1.41 とする。


(イ)

x^2+y^2=6^, x^2+(y-12)^2=(6\sqrt{3})^2 を連立して解いて x=\pm3\sqrt{3}, y=3
よって, 図で
P(0,12), A(3\sqrt{3},3), B(-3\sqrt{3},3) である.
AOB=120^{\circ}, ∠APB=60^{\circ} であるから, 求める面積は
扇型OAB-△OAB+扇型PAB-△PAB
=\pi\times6^2\times\frac{1}{3}-\frac{1}{2}\times6^2\times\sin120^{\circ}+\pi\times(6\sqrt{3})^2\times\frac{1}{6}-\frac{1}{2}\times(6\sqrt{3})^2\times\sin60^{\circ}
=30\pi-36\sqrt{3}
=31.92


(ロ)
楕円の方程式を y について解くと y=\pm\frac{2}{3}\sqrt{2}\sqrt{9-x^2}
よって, 求める面積は
4\int_{0}^{3}\frac{2}{3}\sqrt{2}\sqrt{9-x^2}=4\times\frac{2}{3}\sqrt{2}\times\pi\times3^2\times\frac{1}{4}=6\sqrt{2}\pi=26.5644



ここで, \int_{0}^{3}\sqrt{9-x^2} が原点を中心とする半径 3 の円の面積の \frac{1}{4} であることを使いました.
置換積分を使うより速いです.
ちなみに, 楕円の面積を求める公式もあり, 楕円 \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1 の面積は \pi ab で表されます.
証明は簡単で, 計算するだけでできますが, 円 x^2+y^2=a^2 (面積は \pi a^2)を縦に \frac{b}{a} 倍したものがこの楕円であることを考えると, 結果は自明です.


(ハ)
放物線と直線の交点の x 座標は -8, 9 であるから, 求める面積は \frac{1}{6} 公式より
\frac{1}{6}\cdot\frac{1}{12}\{9-(-8)\}^3=\frac{4913}{72}=68.236\dot{1}



このブログが過去問を参照している「東京大学数学入試問題50年」の189ページにある解答に誤植が見られます.
68\frac{17}{72} とあるところは \frac{17^3}{72} の間違いのようです.
答えは合っています.


(ニ)

図より, 求める面積は
10\times5\sin60^{\circ}\times\frac{1}{2}\times2=25\sqrt{3}=43.25


以上により
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