閉じた式

数学の色々な場面で、「閉じた式」を求めることが問題となります。
ただし、ここで言う閉じた式とは、ごくごく基本的な関数の有限個の組み合わせによって得られる、再帰的でない式、という程度の意味です。
数学基礎論でも同じ用語を使いますが、それは closed formula、こちらは closed-form expression です。)
例えば、
n 個のものから r 個取る組合せの閉じた式は
{}_nC{}_r = \frac{{}_nP{}_r}{r!}
となります。
また、
f(1)=f(2)=1, f(n)=f(n-1)+f(n-2) (n \geq 3 のとき)
は、フィボナッチ数列を表す漸化式であり、閉じた式とは言えません。
しかしながら、この漸化式を解く、すなわち閉じた式を求めてみると
f(n)=\frac{1}{\sqrt{5}}\left\{\left(\frac{1+\sqrt{5}}{2}\right)^n-\left(\frac{1-\sqrt{5}}{2}\right)^n\right\}
となります。
このように、数列の一般項を表す閉じた式を求める問題が、組合せ論の分野にはたくさんあります。
有名なところでは、自然数 n の分割数を求める関数 p(n) があります。
「閉じた式」の意味を拡大解釈して、関数の無限個の和を許すならば、次のような公式が知られています。

(個々の関数の意味についてはここでは立ち入りません。)
で、この p(n) の「本当の」閉じた式、つまり、ごくごく基本的な関数の有限個の組み合わせによって得られる、再帰的でない式、は、長らく見つかっていなかったようなのです。
それを以前、自分が発見して大喜びしたのですが、その構成法があまりに簡単なので、誰かが先に同じようなことをやっているんじゃないかとか、これは一般的な意味での閉じた式とは言えないんじゃないかとか、そもそも何かとんでもない勘違いをしているんじゃないかとか、そんなことを思って悩んでいます。
勘違いだったりしたら、相当恥ずかしいです。大喜びしただけに。
具体的には、次のようになります(以前のを改良し、大分短くなりました)
http://www.igaris.com/math/partition.gif