4人でじゃんけんをしてk回目で初めて一人が勝ち残る確率

前回の話の続きです。
がんばって、「4 人でじゃんけんをして k 回目で初めて一人が勝ち残る確率」を求めることに成功しました。



[ 解答 ]
n 人でじゃんけんをして k 回目で初めて一人が勝ち残る確率を P(n,k) で表し、一度のじゃんけんによって a 人が b 人になる確率を Q(a,b) で表すことにします。
すると、前回と同様の考察により、次の漸化式を得ます。
P(4,k) = Q(4,4) \times P(4,k-1) + Q(4,3) \times P(3,k-1) + Q(4,2) \times P(2,k-1)
前回の結果より
P(3,k) = \frac{2k-1}{3^k}
また、2 人でじゃんけんをして k 回目で初めて一人が勝ち残るのは、k-1 回目まであいこで k 回目に勝負がつくことだから
P(2,k) = \left(\frac{1}{3}\right)^{k-1} \times \frac{2}{3} = \frac{2}{3^k}
他の Q(a,b) の値は前回同様に求められます。
これらを代入して整理し、P(4,k) を改めて p_k で表すことにすると
p_{k+1} = \frac{13}{3^3}p_k + \frac{8(k+1)}{3^{k+3}}
両辺を 3^{k+1} 倍して
3^{k+1}p_{k+1} = \frac{13}{9} \cdot 3^k a_k + \frac{8}{9}(k+1)
b_n = 3^n p_n とおくと
b_{n+1} = \frac{13}{9}b_n + \frac{8}{9}n + \frac{8}{9} …(1)
ここで、f(n) = an+b として
b_{n+1}+f(n+1) = \frac{13}{9}(b_n+f(n))
と変形できたとする。
このとき
b_{n+1} = \frac{13}{9}b_n + \frac{13}{9}f(n)-f(n+1)
= \frac{13}{9}b_n + \frac{13}{9}(an+b)-\{a(n+1)+b\}
= \frac{13}{9}b_n + \frac{4}{9}an -a + \frac{4}{9}b …(2)
(1) と (2) の係数を比較して
a = 2, b=\frac{13}{2}
よって
b_{n+1} + 2(n+1) + \frac{13}{2} = \frac{13}{9}\left(b_n + 2n + \frac{13}{2}\right)
ここで
b_1 = 3^1 p_1 = 3 Q(4,1) = \frac{4}{9}
なので
b_n + 2n + \frac{13}{2} = \left(\frac{13}{9}\right)^{n-1}\left(b_1 + 2 \cdot 1 + \frac{13}{2}\right) = \frac{161}{18}\left(\frac{13}{9}\right)^{n-1}
よって
b_n = \frac{161}{18}\left(\frac{13}{9}\right)^{n-1} - 2n - \frac{13}{2}
したがって
p_k = P(4,k) = \frac{1}{3^k}\left\{\frac{161}{18}\left(\frac{13}{9}\right)^{k-1} - 2k - \frac{13}{2}\right\}
となります。
めでたし!

いやー、大変な式が出てきてしまいましたっ!
検算して確かめたので、間違っていることはないと思います。


ところで、P(2,k) と P(3,k) と P(4,k) を並べてみると、次のようになります。
P(2,k) = \frac{2}{3^k}
P(3,k) = \frac{2k-1}{3^k}
P(4,k) = \frac{1}{3^k}\left\{\frac{161}{18}\left(\frac{13}{9}\right)^{k-1} - 2k - \frac{13}{2}\right\}


それぞれ分母は 3^k ですが、分子の方は規則性がさっぱり分かりません。はっはっは。
P(5,k) もがんばれば求められるかもしれませんが、一般論を展開することは難しそうです。
つまり P(n,k) を n と k からなる簡明な閉じた式で表すことは無理っぽいですね。


うーん、たかがじゃんけんと言えど、とっても難しい問題をはらんでいるものですな。