n人でじゃんけんをしてk回目で初めて一人が勝ち残る確率
今日は東大の入試問題にチャレンジしてみました。
[ 問題(原文のまま) ]
3 人で‘ジャンケン’ をして勝者をきめることにする.たとえば,1 人が‘紙’ を出し,他の2 人が‘石’ を
出せば,ただ1 回でちょうど1 人の勝者がきまることになる.3 人で‘ジャンケン’ をして,負けた人は次
の回に参加しないことにして,ちょうど1 人の勝者がきまるまで,‘ジャンケン’ をくり返すことにする.
このとき,k 回目にはじめてちょうど1 人の勝者がきまる確率を求めよ.
自分の解答を紹介します。
所要時間は約20分。
他にも色々な解き方があるはずです。
[ 解答 ]
k 回目に初めて一人が勝ち残る確率を で表し、一度のじゃんけんによって a 人が b 人になる確率を Q(a,b) で表すことにする。
:
3→1
誰が勝つかで3通り、どれで勝つかで3通りなので
:
3→3→1
3→2→1
上の一つの確率は です。
:
3→3→3→1
3→3→2→1
3→2→2→1
上の二つは2回目以降は と同じなので、これら二つを合わせた確率は です。
:
3→3→3→3→1
3→3→3→2→1
3→3→2→2→1
3→2→2→2→1
上の三つは2回目以降は と同じなので、これら三つを合わせた確率は です。
結局、k の値によって起こりうる場合を上のように列挙してみると、一番下を除いた分は で求められることが分かります。
そして、一番下が常に
3→2→…→2→1
の形になっていることも確認できます。
このような考察から、次の漸化式を得ます。
ここで および は、n 人でじゃんけんをしてあいこになる確率の公式
を使うと(使わなくても計算できます)
また、 (どの二人が勝つかで 通りで、どの手で勝つかで 3 通り。)
同様に
これらを代入して整理すると
()
このような数列の一般項を求める方法もあるのですが、ここでは推測して数学的帰納法を使います。
漸化式にしたがって順次計算していくと
したがって、 と推測できます。
以下、数学的帰納法により証明します。
k = 1 のとき、成り立つ。…(1)
k = m のとき、成り立つと仮定すると
よって、k = m + 1 のときに成り立つ。…(2)
(1), (2) により、全ての自然数について成り立つ。
以上により
高校生に数学を教えることを生業としている手前、これくらいの問題が解けなければ話になりません。
解けて一安心です。
ところで、この問題を一般化した、次のような問題を考えることができます。
[ 問題 ]
n 人でじゃんけんをして、k 回目で初めて一人が勝ち残る確率を求めよ。
n = 3 の場合が東大バージョンです。
ということは、東大の入試問題よりも難しい問題と言えます。
実は、今日はこの問題を解こうと、一日中奮闘していました。
しかし、n = 4 の場合ですら、解くことができませんでした。
規則性もさっぱり見えて来ず、今はお手上げ状態です。
ネットで色々探してみたのですが、この問題自体は見つかっても、その解答は見つかりませんでした。
もしかしたら、今まで誰も解いたことがない問題なのかもしれません。
興味をもったそこのアナタ!
チャンレジしてみてはいかがでしょうか。