掃除会社

2006年に会社法が制定され, これまであった有限会社は廃止され, 新たに合同会社が設けられました。
合同会社があるのに相似会社はありません。これはおかしなことです。
しかし, 掃除を主な業務とする掃除会社なら存在します。
というわけで, 今日は三角形の合同条件についてです!


三角形の合同条件と言えば, 次の三つがよく知られていますね。


[1]一辺とその両端の角がそれぞれ等しい。
[2]二辺とその間の角がそれぞれ等しい。
[3]三辺がそれぞれ等しい。


ところで、直角三角形の場合には、別の合同条件があります。


[1]'斜辺と一鋭角がそれぞれ等しい。
[2]'斜辺と他の一辺がそれぞれ等しい。


直角三角形の場合は, どうしてこのような合同条件が成り立つのでしょうか。
実は, 「斜辺」がキーワードです。
これによって, 直角の対辺であることが確定するところが肝。確定しないとダメ。


例えば, [1] を少し変えて
二角とその間にない一辺がそれぞれ等しい
という条件を考えると, その一辺がどちらの角の対辺であるかが確定しないので, 二角が等しくない限り, 三角形が一つに定まりません。
(図を用意して説明しようとしましたが, 面倒なので省略!)
そうすると, どちらの角の対辺であるか指定すれば, 合同条件になるんじゃね?という疑問が起こります。
実際, なります。やったね!
[4] 二角と, 一方の角の対辺がそれぞれ等しい。
以下, 証明。


△ABCと△A'B'C'において, A=A', B=B', a=a' とする。
このとき, A=A', B=B' より C=C' である。
正弦定理より
\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}
\frac{a'}{\sin A'}=\frac{b'}{\sin B'}=\frac{c'}{\sin C'}
であるから, A=A', B=B', C=C', a=a' より
b=b', c=c'
よって, 三辺が等しいので, △ABCと△A'B'C'は合同である。


わーい!できちゃった!
じゃあ, 今度は [2] を少し変えて
二辺とその間にない角がそれぞれ等しい
を考えてみましょう。
この場合も, やはり, 角がどちらの辺の対角であるかが確定しないので, 二辺が等しくない限り, 三角形が一つに定まりません。
(やっぱり図は省略。自分で考えてみてね。)
じゃあやっぱり, どちらの辺の対角であるか指定すれば, 合同条件になるんじゃね?という疑問が起こります。
ところがどっこい。そうは問屋が卸しません。
[5] 二辺と, 一方の辺の対角がそれぞれ等しい(?)。
以下, 検討。


△ABCと△A'B'C'において, A=A', a=a', c=c' とする。
余弦定理より
a^2=b^2-2c\cos Ab+c^2 … (1)


(i) A が直角のとき
(1) より b^2=a^2-c^2
ここで, A が直角なので A>C であるから a>c
ゆえに b^2>0 であるから b>0 となる解がただ一つ存在する。


この場合はOKです。
というか, これは [2]' そのものです。
では次。


(ii) A が鈍角のとき
(1) より b^2-2c\cos Ab+c^2-a^2=0 … (2)
A が鈍角なので C は鋭角。
よって, 昨日の記事の (1) より b についての方程式 (2) は異なる二つの実数解をもつ。
ニ解を \alpha, \beta とし, それぞれ正とすると
(b-\alpha)(b-\beta)=0 より
b^2-(\alpha+\beta)b+\alpha\beta=0
このとき b の係数は負である。
ところが, (2) において c>0 かつ \cos A<0 より b の係数は正。
これは矛盾である。
ゆえに, 異なる二つの実数解がそれぞれ正となることはない。
また, 昨日の記事の結果より, 方程式 (2) は正の解をもつ。
以上により, 方程式 (2) は正の解をただ一つもつ。


この場合もOKでした!
うひょ!
しかし, この次が曲者です。
図をかいてみれば分かるのですが, A が鋭角の場合, 一般に三角形は一つに定まりません。
(例によって図は省略。)
では, さらにどのような条件が満たされればよいのか, 以下で見ていきます。


(iii) A が鋭角のとき
C が直角であれば上記 (i) の a, A を c, C に置き換えることにより三角形が一つに定まることが分かる。
これは実質的に (i) と同じことであるから, C は直角でないと仮定する。
すると, b についての方程式 (2) は異なる二つの実数解をもつ。
それらを \alpha, \beta (\alpha<\beta) とおくと
b^2-(\alpha+\beta)b+\alpha\beta=0
(2) において c>0 かつ \cos A>0 より b の係数は負。
よって \alpha+\beta>0
また, \alpha\beta=c^2-a^2
(iii-i) \alpha\beta\leq 0 のとき
\alpha\beta=c^2-a^2\leq 0 より c\leq a
このとき, 条件より \alpha\leq 0, \beta>0 となり, (2) は正の解をただ一つもつ。
(iii-ii) \alpha\beta>0 のとき
\alpha\beta=c^2-a^2>0 より c>a
このとき, 条件より \alpha>0, \beta>0 となり, (2) は正の解を二つもつ。


あらっ!
最後の最後で, 正の解が二つ出てきて, 三角形が一つに定まらなくなってしまいましたっ!
しかしながら, よくよく整理して考えてみると, c\leq a であれば (iii) の場合はOKですし, しかも, 実はこのことは (i), (ii) においては [tex:c