順序数の演算
自然数に足し算, 掛け算, べき乗が定義できたように, 順序数にもそれらを定義することができます.
ここで, 超眼再帰が大活躍します.
足し算
任意の順序数 について
(i) .
(ii) 任意の順序数 に対して .
(iii) 任意の極限順序数 に対して .
足し算は二項演算ですが, 超眼再帰における , , として, 各 ごとに上記のような関数を定義すればよいのです.
つまり, 次のようになります.
(i) .
(ii) 任意の順序数 に対して .
(iii) 任意の極限順序数 に対して .
ここで, , , はそれぞれ
を満たすものとする.
(定義の中に が入っていますが, これを任意の超眼列だと考えれば問題ありません.)
もしくは, 二変数のクラス関数 を考えても構いません.
それでも超眼再帰が成り立つことは明らかです.
こんな調子で, 掛け算とべき乗も定義します.
掛け算
任意の順序数 について
(i) .
(ii) 任意の順序数 に対して .
(iii) 任意の極限順序数 に対して .
べき乗
任意の順序数 について
(i) .
(ii) 任意の順序数 に対して .
(iii) 任意の極限順序数 に対して .
これらの定義はごく自然なものであるように感じられます.
足し算と掛け算は, 結合法則を満たします.
補題
任意の順序数 , , について
(i) .
(ii) .
証明
(i) について成り立っていると仮定します.
このとき,
[tex: = *1 + 1] (帰納法の仮定より交換法則が成り立っていることによる)
[tex:=\alpha + *2] (再び, 交換法則)
したがって, 後続順序数については成り立つことが分かりました.
次に, を極限順序数とし, より小さい任意の順序数について (i) が成り立っていると仮定します.
最初, が極限順序数であることを見ます.
ならば, ある が存在して となるので, .
というわけです.
したがって,
(定義より)
(交換法則より)
( より)
( が極限順序数であることと定義より)
です.
(ii) 同様.
さて, 足し算と掛け算は結合法則を満たしますが, 残念ながら交換法則は満たしません.
実際,
,
です.
他, 順序数の演算について, いくつかの性質を並べておきます.
(i) ならば .
(ii) ならば, ある が存在して, .
(iii) かつ ならば .
(iv) と に対して, ある , が一意に存在して, .
(v) かつ ならば .
証明は, 気が向いたらします.