隣接n項間漸化式を解きたいのです

明けましておめでとうございます。
今年に入ってから2度、スノーボードに行きました。今日は二日ですね。あれれ。

昨年末に出した結果に至った経緯について述べたいと思います。述べちゃいます。

「昨年末に出した結果」
3項間漸化式
af_{n+2}+bf_{n+1}+cf_n=0
によって定義される数列の一般項は、その特性方程式が重解を持たないとき、n \geq 3ならば
f_n=\sum_{i=0}^{\lfloor \frac{n-1}{2} \rfloor-1}(-1)^{n-i} a^{-n+2+i} b^{n-3-2i} c^i
\times ({}_{n-2-i}C_{i}b f_2+{}_{n-3-i}C_{i}c f_1) +\frac{1+(-1)^n}{2} f_2 \left(-\frac{c}{a}\right)^{\lfloor \frac{n}{2} \rfloor-1}
で、表される。

隣接3項間漸化式の解法は、高校数学で扱われます。
では、隣接n項間漸化式はどうやって解けば良いのか?と考えるのは自然なことです。
数列\{f_n\}を定義する漸化式(正確に言うと定数係数線形漸化式)内のf_{n+i}x^iに変えて得られる方程式、すなわち特性方程式を解くことによって、任意の隣接n項間漸化式は解くことができます。
この事実は、差分方程式の教科書の最初の方に出てくるくらいに初歩的・基本的な事実です。
ところがっ!
一般に、隣接n項間漸化式を解くには、n-1次方程式を解かねばなりません。
また、5次以上の方程式には解の公式にあたるものがなく、その解を代数的に表現することは一般に不可能です。
ということはっ!
隣接6以上項間漸化式は一般には解けないんじゃん?あれれー。
なんて疑問が生じたのでありました。
でもでもっ!
隣接3項間漸化式の場合は、その特性多項式が重解を持たないならば、一般項を異なる二つの解\alpha,\betaの対称式で表すことができます。
こんな感じ↓
f_n = \frac{(f_2 - \beta f_1)\alpha^{n-1}-(f_2 - \alpha f_1)\beta^{n-1}}{\alpha - \beta}
ちなみに、対称式というのは、変数を入れ替えても同じ式ができてしまうという、風変わりな多項式のことです。
例えば、-\alpha-\betaとか、\alpha^2+\alpha^6\beta^6+\beta^2とか。
そして、この対称式というものは、基本対称式というものの多項式で表すことができることが知られています。
これが、俗に言う対称式の基本定理というものです。
今の場合で言うと、基本対称式は\alpha+\beta\alpha\betaの二つです。
また、解と係数の関係により
\alpha+\beta=-b/a,\alpha\beta=c/a
が成り立つことは高校生でも知っている事実です。
ここで、a,b,cは、特性方程式の各項の係数です。
ここまでをまとめると。
一般項が\alpha\betaの対称式で表される。
⇒一般項が\alpha\betaの基本対称式の多項式で表される。
⇒一般項が\alpha+\beta\alpha\beta多項式で表される。
⇒一般項がa,b,cの多項式で表される。
ということになります。
さらに言うと、隣接n項間漸化式の場合にも、特性方程式が重解を持たないならば、同様の方法によってその一般項を特性方程式の相異なる解の対称式として表すことが可能で、それ故、n-1次方程式の解と係数の関係を用いて、特性方程式の各項の係数の多項式として表すことができる、という事実に行き当たります。
やったね。
そんなわけで、手初めに、隣接3項間漸化式の場合についての結果を導いてみた、というわけなのでありました。
以上。
証明を載せておきます。
証明
実は、
\frac{\alpha^{n+1}-\beta^{n+1}}{\alpha-\beta} = \sum_{i=0}^{\lfloor \frac{n}{2} \rfloor}{}_{n-i}C_i(-\alpha\beta)^i(\alpha+\beta)^{n-2i}
の証明がまだできていません。
どうやって証明したもんだべか。