1959年 二次 数学1 代数 [2]

井戸に小石を落としたところ, 小石が水面に達した音が t 秒後に聞こえた。


(1)
重力の加速度を g m/秒^2, 音の速度を c m/秒, 地面から水面までの距離を d m とするとき, dg, c, t で表わせ。ただし空気の抵抗は無視するものとする。


(2)
音が伝わるのに要する時間を無視すれば, d の近似値として d'=\frac{1}{2}gt^2 が得られる。
このとき, 相対誤差 \frac{d'-d}{d} が与えられた正数 \alpha より小さくなるために, tg, c, \alpha によって定まるある限界より小さくなければならない。この限界を求めよ。



東京大学数学入試問題50年」には「d の近似値として」のところが「\alpha の近似値として」と書かれてありますが, これは明らかに誤植です.
この本は誤植が多いような気がしますが, 資料としての価値はとても高いと思います.



物理の公式をどの程度まで使ってよいものやら分かりません.
惜しげもなく使っちゃいます.


(1)
小石が t_1 秒後に水面に達し, それから t_2 秒後に音が聞こえたとすると
t_1+t_2=t
\frac{1}{2}gt_1^2=d…(1)
ct_2=d
これより
\frac{1}{2}gt_1^2=c(t-t_1)
gt_1^2+2ct_1-2ct=0
t_1>0 より
t_1=\frac{-c+\sqrt{c^2+2cgt}}{g}
(1) に代入して
d=\frac{1}{2}g\left(\frac{-c+\sqrt{c^2+2cgt}}{g}\right)^2
=\frac{1}{2g}(2c^2+2cgt-2c\sqrt{c^2+2cgt})
=\frac{c}{g}(c+gt-\sqrt{c^2+2cgt})



ちなみに t_2 の方を先に求めようとして方程式を解くと
\frac{c+gt\pm\sqrt{c^2+2cgt}}{g}
が出てきて, どちらが t_2 なのか若干分かりにくいです.
実際は [tex:t_2


(2)
\frac{d'-d}{d}<\alpha, d>0, g>, \alpha>0, t_1>0, t_2>0 より
d'<(1+\alpha)d
\frac{1}{2}gt^2<(1+\alpha)\times\frac{1}{2}gt_1^2
t<\sqrt{1+\alpha}t_1
t<\sqrt{1+\alpha}\times\frac{-c+\sqrt{c^2+2cgt}}{g}
gt+c\sqrt{1+\alpha}<\sqrt{(1+\alpha)(c^2+2cgt)}
両辺を 2 乗して
g^2t^2+2cg\sqrt{1+\alpha}t+c^2(1+\alpha)<(1+\alpha)(c^2+2cgt)
g^2t^2<2cg(1+\alpha-\sqrt{1+\alpha})t
t<\frac{2c}{g}(1+\alpha-\sqrt{1+\alpha})
よって, 限界は \frac{2c}{g}(1+\alpha-\sqrt{1+\alpha})